抄録
近年,開発の盛んな経肺投与製剤は粒子設計と密接な関連がある.筆者らは,ナノ粒子を用いるペプチド性薬物の経肺投与,あるいは薬物結晶の微細化による粉末吸入剤粒子の設計に取り組んでいる.本稿では,これらの研究成果を概観した.特に,医薬品のナノ粒子を調製に関しては,エマルション溶媒拡散法や超臨界二酸化炭素を用いた新しい調製法を用いて,in vitroでの吸入試験において良好な結果を示す粒子の調製に成功した例を示した.経肺投与に有効な粒子調製のためには,粒子径や表面特性を制御する必要があり,ナノテクノロジーを用いた最適な調製方法の確立が鍵と考えられる.