抄録
現在,世界の糖尿病の有病者数は2億4,600万人に急増し,全世界的な社会問題となっている.インスリン治療が不可欠な1型糖尿患者は全体の10~15%を占めているが,依然として注射剤投与が主流であり,毎日複数回のインスリン自己注射は患者に大きな負担となっている.このような背景のもと,インスリンの非侵襲的送達システム製剤の開発は,常に精力的に研究されてきたものの,なかなか研究の域をぬけず実用化がみえてこなかった.しかし近年,経肺インスリン製剤Exuberaの出現に伴い,注射以外のインスリン投与技術に大きなブレイクスルーが認められる.本稿ではこのような非侵襲的送達システムを導入したインスリン製剤の最新の開発動向について紹介する.