Drug Delivery System
Online ISSN : 1881-2732
Print ISSN : 0913-5006
ISSN-L : 0913-5006
24 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集 “ホルモン製剤のDDSの基礎と臨床” 編集 : 山口俊晴
  • 吉野 廣祐
    2009 年 24 巻 4 号 p. 384-393
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/30
    ジャーナル フリー
    遺伝子工学の著しい進歩と薬物療法の発展に伴い,多くのホルモン性医薬品が開発され,臨床の場に提供されるようになってきた.ホルモン療法の必要な患者の医療に大きく貢献している.現在約90種類ほどのホルモン性薬物と500品目以上の製剤が医療に用いられているが,DDSと呼ばれる製剤の数はそれほど多くはない.既存のDrug Delivery技術がホルモン療法にうまく適合しないという技術上な問題や,開発コスト上の問題,薬事規制上の問題などがその原因となっている.
    本稿では現在上市されているホルモン医薬品と今後の開発動向を紹介しながら,開発におけるさまざまな問題点を概説する.
  • 檜垣 惠
    2009 年 24 巻 4 号 p. 394-401
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/30
    ジャーナル フリー
    臨床的に有用な薬剤であるステロイドをコンプライアンス・薬効の向上,および副作用の軽減のため高分子ナノキャリアーに封入した.ナノサイズによりEPR効果による炎症局所への標的化,PEG付与により網内系への取り込み抑制による血中滞留性の増加(ステルス性),生体分解性・生体適合性のポリ乳酸ポリマーを用いることで局所での薬剤徐放性が可能となった.PLA(2.6 kD)とPEG(5 kd)-PLA(3 kD)ブレンドによる10%PEG含量の115 nmサイズベタメタゾン封入ナノ粒子が関節炎モデル動物で高い薬効を示した.
  • 森下 真莉子
    2009 年 24 巻 4 号 p. 402-407
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/30
    ジャーナル フリー
    現在,世界の糖尿病の有病者数は2億4,600万人に急増し,全世界的な社会問題となっている.インスリン治療が不可欠な1型糖尿患者は全体の10~15%を占めているが,依然として注射剤投与が主流であり,毎日複数回のインスリン自己注射は患者に大きな負担となっている.このような背景のもと,インスリンの非侵襲的送達システム製剤の開発は,常に精力的に研究されてきたものの,なかなか研究の域をぬけず実用化がみえてこなかった.しかし近年,経肺インスリン製剤Exuberaの出現に伴い,注射以外のインスリン投与技術に大きなブレイクスルーが認められる.本稿ではこのような非侵襲的送達システムを導入したインスリン製剤の最新の開発動向について紹介する.
  • 武永 美津子, 五十嵐 理慧
    2009 年 24 巻 4 号 p. 408-414
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/30
    ジャーナル フリー
    プロスタグランジンE1(PGE1)は,強力な血小板凝集抑制能,血管拡張能を持つ局所ホルモンである.平均粒径200~300 nm(ナノメートル)のo/wエマルションであるリピッドマイクロスフェアに封入した“リポPGE1”は,障害血管部位,炎症部位などの病変部位へ薬剤を効率よく送り込む“ターゲティング”効果のために,少量で効果を発揮し,副作用の低減を可能とする画期的なDDS製剤となった.
    リポPGE1は1988年の臨床適用以来,日本だけでなく中国・韓国を含めて,末梢動脈閉塞症をはじめ,循環障害に起因する種々症状の改善・治癒に多大な貢献をしている.
  • 井上 高光, 大山 力, 羽渕 友則
    2009 年 24 巻 4 号 p. 415-420
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/30
    ジャーナル フリー
    初診時前立腺がんの約80~90%はアンドロゲン依存性の性質を示す.転移を有する前立腺がん患者に対しては,根治を目指す前立腺全摘術や放射線療法よりもホルモン療法が通常選択される.前立腺がんにおけるホルモン療法の目的は,アンドロゲン受容体へのシグナルを減少させ腫瘍を縮小させるところにある.現在本邦では,外科的去勢術(両側精巣摘除),LH-RHアゴニスト,抗アンドロゲン剤,グルココルチコイドを組み合わせてホルモン療法が行われているが,そのうち特にDDSに関わる事項として,LH-RHアゴニスト徐放製剤の開発について詳説する.この製剤は,精神的身体的負担を伴う精巣摘除術なしに去勢を可能とした.
  • 伊藤 良則
    2009 年 24 巻 4 号 p. 421-425
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/30
    ジャーナル フリー
    乳がん治療においてホルモン治療は中心的役割を担う.閉経前ホルモン受容体陽性乳がんに対して黄体ホルモン分泌刺激ホルモン誘導体であるゴセレリン,またはリュープロレリンは内科的卵巣機能抑制によって効果を発揮する.ともに1カ月または3カ月間隔に投与する徐放性皮下注射剤である.
    4週ごとに投与する徐放性筋肉注射剤である純粋抗エスロゲン剤のフルベストラントは,タモキシフェン耐性またはアロマターゼ阻害剤耐性乳がんに対して有効である.タモキシフェンまたはLHRHアナログのナノ粒子抱合体によって抗腫瘍効果を高める試みがなされている.
feedback
Top