抄録
近年、自然免疫の分子機構が明らかになるにつれて、これまで経験則によって用いられていたワクチンやワクチンアジュバントの作用機序を科学的に理解することが可能になりつつある。本稿では、これまでに明らかになっている自然免疫応答による樹状細胞活性化とそれに伴う獲得免疫応答の過程、様々な疾患/病態に関与するTh1, Th2, Th17などの異なるCD4T細胞サブセットへの分化制御に自然免疫シグナルが及ぼす影響などについて概説し、抗原及びアジュバントを適切な樹状細胞に標的することによる次世代ワクチン開発の可能性について述べる。