Drug Delivery System
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特集 “次世代治療を支えるDDS技術” 編集:田畑泰彦
心臓血管外科におけるDDS技術
齋木 佳克菅原 由美
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2012 年 27 巻 4 号 p. 289-295

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抄録
心臓血管系においても様々な薬剤徐放技術の応用が考案されている。循環器領域での薬剤徐放ステント、特に、ラパマイシンを用いたステントの臨床上の成功により、心臓血管外科領域でも同薬剤の局所投与の応用研究がなされるなど、DDSの概念は普及しつつある。これまでに試用されている徐放薬剤の代表はbasic fibroblast growth factor(bFGF)と抗生物質、特に、vancomycinである。これらの薬剤を用いて、血管新生を介した末梢組織、あるいは、周辺組織の虚血予防、胸骨治癒促進と重篤な人工血管感染の予防と治療、カテーテル感染の予防などが様々な実験レベルで試みられ、その有効性が報告されている。なかでもbFGFの徐放系は臨床応用も既に開始され、重症下肢虚血の治療において一定の効果が得られている。また、感染制御を目的とした使用については、欧米ではdaptomycin、vancomycin、gentamicinなどの局所投与を可能としたpolymethylmethacrylateからなるビーズ を用いて、末梢血管用グラフト感染の治療がなされている。本邦では、大動脈瘤手術後の吻合部仮性瘤予防と人工血管感染予防を目的として、ゼラチン包含ポリグリコール酸を用いてのbFGF徐放技術の臨床応用が試み始められている。
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© 2012 日本DDS学会
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