Drug Delivery System
Online ISSN : 1881-2732
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特集“新しいDDSを切り拓く機能性材料の開発”編集:川上亘作
物理刺激で薬物を放出するゲル担体を利用した患者制御型ドラッグデリバリーシステム
井澤 浩則川上 亘作有賀 克彦
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2013 年 28 巻 2 号 p. 92-98

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抄録
温度や光、磁力など様々な外部刺激に応答する材料が、DDS担体として広く利用されている。これらはDDS概念の具現化に極めて有用である一方で、実現に際してはインフラ整備などが課題になることがある。本稿では、人の手で与える力のみで薬物放出を行うゲルを紹介する。担体ゲル素材は、アルギン酸カルシウムを、シクロデキストリンで架橋することにより合成した。これにモデル薬物として制吐剤のオンダンセトロンを取り込ませ、人の押す力を模倣した刺激を与えると、それに応じて薬物放出が起こることが確認された。本システムはQOLの向上に貢献するだけでなく、インフラ整備が不可能な発展途上国や、ライフラインが途絶えた災害時などでも利用が可能な、新しい薬物投与法として期待される。
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© 2013 日本DDS学会
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