Drug Delivery System
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特集 “温故知新DDS―30年の歴史と未来―” 編集:水島 徹
臨床研究に学ぶDDSの今後の方向性
松村 保広
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2014 年 29 巻 1 号 p. 39-50

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抄録

抗がん剤のDDSはpassive targetingとactive targetingに大別される。前者はEPR効果により達成され、すでにいくつかの剤型が承認されている。本邦発のミセル体の一部は第Ⅲ相が行われている。Active targetingの抗体・抗がん剤複合体(Antibody Drug Conjugate; ADC)は、乳がんにおけるT-DM1の成功により再び脚光を浴びてきたが、抗体に付加できる抗がん剤は3個までにしないと、抗体そのものの活性が低下する。よってADCにおける抗がん剤は毒性が強力なものに限られる。通常の抗がん剤はナノ粒子に内包してデリバリーするという不文律ができあがったと考える。DDS研究だけに限らないが、基礎研究成果と臨床には大きな差がある。したがって、基礎開発の段階で、将来、臨床ではどのがんを目指すのか、目的のがんの現状での治療レジメンは何か、など気に留めながら研究を行うべきと考える。

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© 2014 日本DDS学会
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