抄録
バイオフィルム感染症は、抗菌剤が効きにくいため難治性であり、医療現場において大きな問題点となってきた。本稿では、これらの疾患に対して、バイオフィルムと相互作用するナノ粒子化製剤を用い、抗菌剤をバイオフィルム形成菌に長時間さらさせるようにすることで、抗菌活性を示す製剤が設計できることを紹介している。このなかで、バイオフィルム内の細菌へ薬物を効率良く送達するためには、バイオフィルム内に水路として形成されている小孔にアクセスできるサイズの薬物キャリアであるミセルナノ粒子を用いることで達成できることを紹介する。