Drug Delivery System
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30 巻, 2 号
DDSを支える微粒子製剤化技術の進歩
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特集 “DDSを支える微粒子製剤化技術の進歩”  編集:市川秀喜
[連載] DDS製品開発の最前線
  • 中井 清彦
    2015 年30 巻2 号 p. 139-144
    発行日: 2015/03/25
    公開日: 2015/06/25
    ジャーナル フリー
    エポエチンベータ ペゴル(以下、ミルセラ®)は、エリスロポエチン(以下、EPO)を30 kDaの直鎖型ポリエチレングリコール(以下、PEG)で化学修飾した赤血球造血刺激因子製剤である。日本人血液透析患者を対象とした臨床薬理試験において,静脈内投与後のミルセラ®の血中半減期は168~217時間(平均値)であり、既存の遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(rHuEPO)製剤(エポエチン アルファの血中半減期:7.5時間、エポエチン ベータの血中半減期:9.99時間)およびダルベポエチン アルファ(血中半減期:34.54時間)よりも長い血中持続性を示した。この薬物動態学的特性に基づいて、ミルセラ®は既存のrHuEPO 製剤よりも長い投与間隔で腎性貧血治療が可能と考えられた。また、ミルセラ®を腎性貧血患者に静脈内投与または皮下投与したときの半減期は、投与経路に依存せず約200時間であり、投与経路間で同様の値を示し、消失相の血中薬物濃度推移も投与経路間でほぼ一致した。この投与経路に依存しない血中持続性に基づいて、ミルセラ®は既存のrHuEPO 製剤にはなかった、静脈内投与と皮下投与で同一の用法・用量の設定が可能と考えられた。これらのミルセラ®の薬物動態的特性に基づく長い投与間隔および投与経路間で同一の用法・用量を検証するため、日本人慢性腎臓病患者を対象とした第II相臨床試験および第Ⅲ相臨床試験を実施した。その結果、ミルセラ®は、貧血改善期には2週1回、維持期には4週1回と長い投与間隔で貧血治療が可能であることが示された。また、静脈内投与および皮下投与で同一の用法・用量で貧血治療が可能であることも示された。以上、エリスロポエチンをPEG化するというドラッグデリバリーシステムの技術を駆使したミルセラ®の登場により、長い投与間隔や投与経路に依存しない用法・用量での貧血治療が可能となり、患者および医療従事者にとっての利便性が向上し、負担が軽減された。
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