抄録
現代医学において医薬品と医療機器を組み合わせた複合製品combination productは増加の一途をたどっている。薬剤溶出ステントや抗菌剤配合シャントチューブが代表的なものであるが、がん治療領域では、光線力学療法が挙げられる。がん集積性のある光感受性薬剤を投与し、局所的にレーザをがんに照射する治療法であり、薬剤が集積しないまた照射されない正常組織は損傷しない低侵襲な二重の標的治療である。我々は肺がんで承認されたTalaporfinとPDT laserによる光線力学療法を悪性脳腫瘍に適応拡大する医師主導治験を2007年に開始、2013年に薬事承認が得られた。その経験と、現在取り組んでいる薬剤と集束超音波と組み合わせた音響力学療法への展開を述べる。