抄録
筆者らは、薬剤の副作用の軽減を目標に、X線活性化型のプロドラッグの開発を進めてきた。このプロドラッグとは、化合物そのものは毒性を示さないが、X線照射によって構造が活性な薬剤へと変わり、効果を発現するスマートな薬剤である。薬剤をプロドラッグ化することによってX線照射した病変部でのみ抗がん活性を発現できることから、薬剤が抱える副作用の問題を解決できると考えた。筆者らはアジドメチル基、インドールキノン基、ジスルフィド結合等のX線還元反応を受けて結合開裂を生じる官能基を見出し、各種プロドラッグを設計してきた。本稿では、筆者らが進めてきた低分子抗がん剤、核酸医薬品、および薬剤運搬システムのX線照射による活性制御について、分子設計の視点から解説する。