抄録
本稿では、経口コントロールドリリース製剤の設計において筆者らが経験した消化管下部における薬物吸収性に関してヒトと実験動物との動物種差について2つの事例を紹介する。いずれもヒトの結腸からの吸収性が実験動物(イヌ、サル)よりも低いとする知見である。これらの結果をもって結腸からの吸収性についてヒトと実験動物との関連性を結論づけることは困難ではあるが、今後の経口コントロールドリリース製剤の設計において、実験動物でのバイオアベイラビリティに基づいて、ヒトのバイオアベイラビリティを予測する際の考察の一助になれば幸いである。