抄録
薬物によっては、経口吸収性に種差が見られることがある。これは消化管内pH、胃排泄速度、小腸滞留時間、胆汁酸濃度、小腸初回通過効果などの消化管生理の種差が関与していると考えられる。ヒトの経口吸収性を正しく予測するためには、種差を引き起こす原因を理解した上で動物を用いた経口吸収性評価を行う必要がある。筆者らは、低膜透過性の化合物であるDX-9065について、in vitro、in vivo評価を行うことにより低経口吸収性となる原因を精査し、経口吸収改善製剤の検討を行った。本稿では、これら研究の中で明らかとなった消化管生理や経口吸収性の種差について紹介する。