抄録
呼吸器領域では喘息や慢性閉塞性肺疾患において、ステロイドやβ2刺激薬、抗コリン薬で吸入療法が用いられている。一方で、同じように気道における炎症を主体とする呼吸器感染症では、インフルエンザウイルス感染症で吸入療法が行われているものの、細菌感染症ではほとんど行われていない。しかし、薬剤耐性菌による呼吸器感染症が世界的な問題となっており、気道における薬剤濃度を高め、かつ有害事象をできるだけ少なくする目的で呼吸器感染症における吸入療法が見直されている。近年では新たなデバイスの開発もあり、人工呼吸器関連肺炎などの重症呼吸器感染症でもアミノグリコシド系抗菌薬を中心とした吸入療法が行われる可能性がある。