2018 年 33 巻 1 号 p. 33-42
リポソーマルアムホテリシンBは、世界初のリポソーマル製剤であり、抗真菌薬のDDSとして先駆けでもある。従来製剤のアムホテリシンBは、抗真菌スペクトルが広く、信頼性の高い抗真菌薬である一方、投与時の低K血症や腎機能障害など、副作用も無視できないことがよく知られていた。そのため、脂質製剤の開発上の主なコンセプトは、高い抗真菌活性を維持したまま、副作用を低減することであった。実際に従来製剤よりも忍容性は高く、DDS化の目的を十分に果たしたと考えてよいだろう。臨床使用開始から10年が経過しているが、各種真菌症診療ガイドラインでも重要な位置づけを占めている。