Drug Delivery System
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特集 “EPR効果”  編集:丸山一雄
NO放出型ナノリポソームによるEPR効果亢進
片山 佳樹
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2018 年 33 巻 2 号 p. 123-129

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抄録

EPR効果は、固型がんに対するDDSにおいて広く利用されるが、その血管漏出性は個体差が激しく、見かけ上、EPR効果が抑制されて見える場合も存在する。したがって、これを増強するシステムは、ナノメディスンの治療効果の確保の面から意義のあることである。ここでは、自発的に一酸化窒素を放出する薬剤を内包したナノリポソームをご紹介する。このリポソームは、半減期35時間で一酸化窒素を徐放し、CT26担がんマウスの尾静脈から投与した場合、他の臓器への集積性に影響なしに通常のナノリポソームに比べ約2倍の腫瘍への蓄積の向上を示した。また、Doxilとの共投与において、その治療効果を増強した。本システムは、ナノメディスンを用いるがん化学療法に有用であると期待できる。

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© 2018 日本DDS学会
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