抄録
統合失調症は服薬アドヒアランスの維持が難しいことが知られており、アドヒアランス低下による再発や入院リスクの悪化が問題視されている。そこで、中性で溶解性が低いアリピプラゾール水和物結晶の特性を利用し、エビリファイ®持続性水懸筋注用が開発された。臨床試験において、本剤は4週に1回の投与で有効血漿中濃度が維持され、精神症状の悪化/再発までの時間がプラセボ群と比較して本剤群で有意に延長されたことが示された。現在、日米欧を含め30カ国以上で販売されており、統合失調症治療における選択肢の1つとして用いられるようになった。本剤の製剤の特徴、製剤開発の経緯、薬物動態、臨床成績を紹介する。