抄録
本稿では、筆者らが確立した独自の蛍光プローブ精密設計法を活用して開発した、がん部位を見分けて蛍光特性が大きく変化するactivatable型(非DDS型)迅速蛍光プローブを紹介する。開発したプローブの中には、動物実験レベルを越えて、実際の患者さんの自然発症がんにも十分有効であることが明らかとなったものもあり、実臨床現場での使用を目指してこれまでに数個のプローブの臨床開発がスタートし、中にはfirst in human試験が開始されたものも出てきた。術者が治療すべきがん部位を明確に判断でき、的確な蛍光内視鏡下手術、あるいは開腹外科手術が可能となる日も近いものと大いに期待している。本稿ではさらに、非DDS型プローブ技術とDDS技術の組み合わせによるがん医療技術の将来像についても、筆者の考えも簡単にまとめてみた。