Drug Delivery System
Online ISSN : 1881-2732
Print ISSN : 0913-5006
ISSN-L : 0913-5006
特集 “ドラッグデリバリーの体外からのコントロール”  編集:新留琢郎
交流磁場照射による磁性ナノ粒子の発熱を引き金とした遺伝子発現システムの開発
井藤 彰
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 36 巻 3 号 p. 175-184

詳細
抄録

体外からの物理的刺激による遺伝子発現の遠隔操作は、がん治療や再生医療における遺伝子治療のための新しいアプローチを提供する。本稿では、磁性ナノ粒子の細胞局所での加温を利用して、外部からの磁気シグナルを遺伝子発現誘導のための細胞刺激に変換するといったナノテクノロジーと合成生物学を組み合わせた新しいアプローチについて紹介する。合成生物学的アプローチにより構築された温熱誘導型遺伝子発現システム(遺伝子回路)を標的細胞に導入し、さらに磁性ナノ粒子を標的細胞に導入して交流磁場を照射することで、磁性ナノ粒子の発熱を引き金とした目的遺伝子の発現誘導が可能となる。このアプローチは、時空間的な遺伝子発現の遠隔制御に基づく新しい遺伝子治療の開発に寄与すると考えられる。

著者関連情報
© 2021 日本DDS学会
前の記事 次の記事
feedback
Top