Drug Delivery System
Online ISSN : 1881-2732
Print ISSN : 0913-5006
ISSN-L : 0913-5006
36 巻, 3 号
日本DDS学会
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FOREWORD
OPINION
MOURNING
特集 “ドラッグデリバリーの体外からのコントロール”  編集:新留琢郎
  • 髙橋 葉子, 濱野 展人, 根岸 洋一
    2021 年 36 巻 3 号 p. 166-174
    発行日: 2021/07/25
    公開日: 2021/10/25
    ジャーナル フリー
    体外からの外部刺激に応答したドラッグデリバリーは、そのエネルギーの適用エリアにより、比較的容易に標的組織特異的デリバリーが可能となる。なかでも超音波エネルギーは、その安全性の高さから注目され、マイクロバブルやナノバブルを併用することで、超音波造影効果、薬物・遺伝子・核酸デリバリー効果の増強が可能とされている。筆者らは、リポソームに超音波造影ガスを封入したナノバブルを開発し、種々の疾患モデルに対する遺伝子・核酸デリバリーを試み、その有用性を評価してきた。本稿では、医療現場における超音波利用の現状を概説するとともに、超音波を利用した薬物・遺伝子・核酸デリバリーについて、筆者らの研究成果をまじえ紹介する。
  • 井藤 彰
    2021 年 36 巻 3 号 p. 175-184
    発行日: 2021/07/25
    公開日: 2021/10/25
    ジャーナル フリー
    体外からの物理的刺激による遺伝子発現の遠隔操作は、がん治療や再生医療における遺伝子治療のための新しいアプローチを提供する。本稿では、磁性ナノ粒子の細胞局所での加温を利用して、外部からの磁気シグナルを遺伝子発現誘導のための細胞刺激に変換するといったナノテクノロジーと合成生物学を組み合わせた新しいアプローチについて紹介する。合成生物学的アプローチにより構築された温熱誘導型遺伝子発現システム(遺伝子回路)を標的細胞に導入し、さらに磁性ナノ粒子を標的細胞に導入して交流磁場を照射することで、磁性ナノ粒子の発熱を引き金とした目的遺伝子の発現誘導が可能となる。このアプローチは、時空間的な遺伝子発現の遠隔制御に基づく新しい遺伝子治療の開発に寄与すると考えられる。
  • 野本 貴大, 西山 伸宏
    2021 年 36 巻 3 号 p. 185-191
    発行日: 2021/07/25
    公開日: 2021/10/25
    ジャーナル フリー
    近年、ホウ素中性子捕捉療法や光免疫療法が保険適用され、薬剤と医療機器の融合によるがん治療法が大きな注目を集めている。これらの技術は、従来の治療法では対処できなかったがんにも適用できる可能性を秘めており、適用範囲を拡大するための薬剤開発が強く求められている。本稿では、ホウ素中性子捕捉療法と光線力学療法における薬物送達システムの設計について、最近の筆者らの研究成果も含めて紹介する。
  • 徐 薇, 新留 琢郎
    2021 年 36 巻 3 号 p. 192-197
    発行日: 2021/07/25
    公開日: 2021/10/25
    ジャーナル フリー
    金ナノロッドや銀ナノプレートは近赤外域に吸収バンドをもち、近赤外光を照射すれば発熱する。近赤外域の光は組織透過性が高いため、体内の金ナノロッドや銀ナノプレートを体外から加熱することが可能になる。したがって、金ナノロッドと薬物を熱に応答する何かしらのしくみで結合させれば、光照射で薬物放出をコントロールできる。また、パルス光レーザーという瞬間的に高いエネルギーをもつ光を使えば、より効果的な修飾薬物の放出ができる。薬物と金属ナノ粒子、そして、光照射を組み合わせる技術は、よりシンプルな構成で、必要なときに、必要な場所で、必要な量の薬物放出を実現する。
  • 小暮 健太朗, 福田 達也
    2021 年 36 巻 3 号 p. 198-208
    発行日: 2021/07/25
    公開日: 2021/10/25
    ジャーナル フリー
    イオントフォレシス(IP)は、微弱電流を用いる経皮デリバリー技術であるが、従来その適用は荷電を有する疎水性化合物に限定され、親水性高分子はIPに適用できないと考えられてきた。しかし筆者らは、核酸医薬siRNAなどのIPによる経皮デリバリーに成功した。メカニズム解析の結果、微弱電流処理により、細胞シグナル系が活性化されて皮膚組織細胞間隙が開裂することで、高分子が皮内に浸透可能になること、さらに、エンドサイトーシスが誘起され細胞質まで送達されることが明らかになってきた。また、微弱電流によってエクソソーム分泌が促進されることも見出している。本稿では、最近の知見も交えてIPによる経皮デリバリーについて紹介する。
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