抄録
生体内でがん微小環境の特徴と変化を可視化し評価することは、腫瘍の治療や診断を目的とするDDS開発において重要であり、また臨床応用された際にも、個体差が大きながん治療の高精度化や高精度医療の実現に欠かすことができない。MRIは臨床に幅広く普及し、高い空間分解能と軟部組織の情報に加えて、多様な機能イメージングを提供し、DDS開発とその臨床応用に重要な情報を提供し得る。本稿では、がん微小環境評価のための生体イメージング法を概説するとともに、DDSはMRIでの診断と研究に何をもたらし得るか、腫瘍微小環境を評価するMRI造影剤と撮像法、そしてDDSの課題解決に対するMRIの役割について動向をまとめ、将来を展望したい。