抄録
ヒトがん細胞株をマウスに移植して作製したCDXモデルは、半世紀以上にわたってがんの研究を支えてきた。今もなお、低分子化合物からペプチド医薬、核酸医薬、抗体医薬、細胞療法等、さまざまなモダリティの薬効薬理試験に用いられている。一方で、近年では臨床のヒト腫瘍との不一致性が指摘されており、非臨床試験の薬剤スクリーニングに用いる動物モデルとしての有用性に懐疑的報告がされている。しかし、がんの薬効薬理研究、特にDDS研究において、CDXモデルは作製の簡便さや再現性の高さ、ハイスループット性から、未だに重要かつ有用な評価モデルであると考える。本稿では、CDXモデル作製に用いられる免疫不全マウスや移植方法、薬効薬理試験について、筆者らの研究成果を交えて紹介する。