Drug Delivery System
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特集 “進撃のDDS:新しいフロンティアを切り拓け” 編集:安永正浩
AIが広げる分子設計の可能性
大上 雅史
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2025 年 40 巻 1 号 p. 62-70

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抄録
医薬品開発におけるコスト削減と効率化を目指し、情報技術を活用しようとする流れが創薬分野で急速に進んでいる。特に近年の計算機リソースやデータの量的進化により、深層学習を基盤とした革新が実現したことで、AI創薬という言葉とともにAIの応用可能性が盛んに議論されている。タンパク質立体構造予測の精度を劇的に向上させたAlphaFold2は創薬分野のAI技術の代表例であり、ペプチド設計や抗体設計を含むさまざまな領域で応用が進み、医薬品候補となる分子の設計を大幅に加速している。また、自然言語処理分野で発展した言語モデル技術の応用により、化学言語モデルやタンパク質言語モデルといった形で高度な情報表現が可能となり、さまざまなモダリティ・さまざまなアウトカムの予測が高い精度で可能となった。さらに、AlphaFold3の登場によってタンパク質と薬剤の複合体構造予測の精度も向上し、創薬プロセスにおける新たな可能性を切り開いている。本稿では、これらのAI技術を活用した分子設計の最新動向を概説し、その応用例を通じて多様化する現代の創薬研究への貢献を考察する。
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