抄録
オゾラリズマブ（遺伝子組換え）（製品名：ナノゾラⓇ）は、2つの抗ヒトTNFαナノボディⓇ分子と1つの抗ヒト血清アルブミンナノボディⓇ分子から成るヒト化二重特異性ナノボディⓇ薬である。ナノゾラⓇは分泌型および膜結合型のヒトTNFαに2価で結合し、分泌型TNFαの活性を強く阻害する。オゾラリズマブの動物試験において、血清アルブミンに結合することによる血中半減期の延長および皮下投与後の速やかな体循環への移行と炎症組織への分布が確認された。臨床試験において有効性および安全性が評価され、2022年9月にナノゾラⓇ皮下注30 mgシリンジの国内製造販売承認を取得し、2023年7月には、使用時の安全性や利便性の向上が期待されるナノゾラⓇ皮下注30 mgオートインジェクターの製造販売承認を取得した。本稿では、オゾラリズマブの構造的特徴、非臨床試験結果、臨床成績、製剤開発の経緯について紹介する。
