抄録
細胞は運命変換して機能を可塑的に変えることができるため、細胞運命を可塑的に、かつ緻密に制御することは、細胞医薬の有効性、安全性を実現するために重要である。そのために、治療細胞に運命変換スイッチを付与することで、必要な時と場所で治療細胞を働かせて、治療の時空間的な制御や有効性を実現する試みが近年急激に増えてきた。本稿では、分子細胞生物学・光遺伝学・合成生物学の歴史的な進展を振り返りながら、筆者らが開発したものも含め、これまでの人工受容体のシグナル入力・出力のデザインのコンセプトや開発の現状、および今後の課題や展望について議論する。