2026 年 41 巻 1 号 p. 50-58
血液脳関門などの生体内に備わるシステム、また腫瘍微小環境などの特殊な病態環境は、生体内に投与した薬物やナノ粒子の体内分布や薬効に大きく影響を及ぼすバリアとして立ちはだかる。これら生体内の薬物送達における障壁を克服する術として、炎症応答性などの特性を有する細胞の機能の利用が期待されており、細胞自体の薬物送達担体としての利用や、細胞膜成分のナノ粒子への修飾、細胞外小胞の応用が報告されている。本稿では、中枢疾患治療を目指した細胞DDSに関する近年の動向を紹介し、血液中を循環する細胞、特に好中球を利用したDDS開発の有用性について解説する。また、好中球のがん免疫療法への応用を目指した細胞エンジニアリングシステムの開発に関する筆者らの最近の知見を紹介する。