抄録
異なる脂溶性を有する種々酸性, 塩基性および中性薬物のin vivo皮膚透過性に及ぼす多成分経皮吸収促進剤である乳酸-エタノール-ミリスチン酸イソプロピル(IPM)混合(LEI)系の効果をヘアレスラット皮膚を用いて測定した. LEI系に加えて, IPMのみ, エタノールーIPM(EI)系, およびシリコーン液を比較のために基剤として用いた. その結果, (i)IPMとシリコーン液からの皮膚透過性の比較より, IPMは薬物の荷電や脂溶性にほとんど依存せず一様に薬物の皮膚透過性を促進すること, また, (ii)IPMとEI系の比較より, エタノールはそれ自身に近い脂溶性を有する(溶解度パラメータが近い)薬物に対して特に高い効果を示すこと, さらに, (iii)EI系への乳酸の添加(LEI系)は, アミノ基を有する塩基性薬物の皮膚透過速度を増加するが, カルボン酸を有する酸性薬物の透過速度を減少することが明らかとなった.