抄録
5-フルオロウラシル(5-FU)を乳酸グリコール酸供重合体(PGLA)の小球体に封入した新剤型である5-FU封入小球体(5-FU-MS)を開発し, 以下の動物実験を行った. ラットの腹腔内に投与された5-FU-MSは, 5-FU水溶液に比較して, 腹腔内組織に選択的に高濃度の5-FUを長時間作用させる一方, 循環血液中の5-FUの濃腹は低値であった. B-16PCメラノーマ細胞腹腔内移植による癌性腹膜災モデルを用いた治療実験では, 5-FU量として200mg/kgの5-FU-MS投与群の生存曲線は, 同量の5-FU水溶液投与群に比較して有意に良好で, 5-FU-MSのすぐれた治療効果が示された.