Drug Delivery System
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耐性克服とDDS
耐性克服を目的とした遺伝子デリバリー
川上 茂橋田 充
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2005 年 20 巻 1 号 p. 49-54

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抄録

抗がん剤に対する耐性は, がん患者における化学療法を行ううえで非常に重要な問題である. 構造的に関連性のない広範囲な抗がん剤に耐性になることを多剤耐性という. これら多剤耐性を克服する試みとして, これまでにP-糖蛋白質の薬剤結合部位と結合させる低分子医薬品による競合阻害法が検討されてきた.しかしながら, P-糖蛋白質競合剤が固有に有する生理活性による副作用の問題や耐性細胞が併用されているP-糖蛋白質競合剤に対する第3の耐性を獲得することも知られている. したがって, 耐性を克服するため, 従来の方法とは根本的に異なる新しい概念に基づく方法論の構築も強く望まれている. そのなかの一つに, 耐性の原因となるMDR1遺伝子発現の抑制により, 耐性を克服する遺伝子治療法が考案されている. この方法においては, 低分子阻害剤が有する問題を有していないため, 安全かつ有効な耐性克服法になることが期待されている. そこで本稿では, がん細胞(組織)に対する遺伝子デリバリーシステムの現状について紹介するとともに, 耐性克服を目的とした最新の遺伝子治療法について論述する.

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