2005 年 20 巻 1 号 p. 42-48
がん免疫療法においては, がん細胞を直接傷害する免疫系細胞群やがん抗原の情報をこれら細胞群に提示し, 活性化させる抗原提示細胞が生体内において実際の治療を担う“薬物”として作用する. したがって, drug delivery system(DDS)の観点からは, これら“生きた薬物”としての免疫系細胞群の体内動態を制御することが, がん免疫療法の最適化を達成するうえで重要である. 本稿では, 生きた細胞を薬物として捉えたcell delivery systemともよぶべき新たなDDSの概念について, 筆者らの研究成果を中心に報告する.