抄録
キトサンにより崩壊を抑制されたアルギン酸ゲルビーズに関し, さらにヒアルロン酸の添加による含有薬物放出に対する影響を検討した. 高分子量アルギン酸ゲルの燐酸緩衝液(pH6.8)中における崩壊は穏やかに進行し, ヒアルロン酸添加効果は, モデル薬物ジクロフェナクの放出では観察されなかった. 一方, 低分子量(特にグルロン酸含有量の多い)のものより調製されたゲルは急速に崩壊しながら薬物を放出するが, その崩壊はヒアルロン酸添加により明らかに抑制され, また, 含有薬物の徐放化が認められた. なお, この効果はプルランなどの添加ではまったく観察されなかった.