Dental Medicine Research
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原著
磁性バーアタッチメントを用いたインプラントオーバーデンチャーのカンチレバーの長さに関するバイオメカニクス的解析
松橋 智史内田 圭一郎佐藤 裕二
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2011 年 31 巻 2 号 p. 95-101

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抄録

無歯顎患者に対するインプラントオーバーデンチャーには, 様々なバーアタッチメントを用いた補綴処置が行われてきた. しかしながら, バーのカンチレバー部の長さとインプラントに加わる荷重に関して, 十分な検討がなされているとはいえない. そこで本研究では, 磁性バーアタッチメントを用いたインプラントオーバーデンチャー症例において, カンチレバー部の長さの影響を明らかにすることを目的として, バイオメカニクス的解析を行った. 研究の対象は, 左右オトガイ孔間にインプラントを4本埋入し, 磁性アタッチメントキーパーをインプラントの近遠心に5個配置し, 白金加金鋳造バーを装着した下顎無歯顎患者6症例 (12側) とした. まず, バーアタッチメントを装着した口腔内状態を再現したシリコーン製研究用模型を作製した. 次に, 研究用模型の写真を撮影し, それらの画像を用いて下顎オーバーデンチャーの第一大臼歯に咬合力を負荷した状態において, ①オーバーデンチャー, ②バーアタッチメント, ③インプラント体, に対する荷重解析を段階的に行った. その後, バーアタッチメントとオーバーデンチャーが離脱しない限界の咬合荷重について, カンチレバーの遠心先端を1 mmずつ延長した状態を計算式によりシミュレートし, 三次元幾何学解析を行った. 本研究結果から, インプラント体への咬合荷重が増加するにしたがって, 4本それぞれに異なった荷重負担率となることが示された. 特に, バーアタッチメントを支持するインプラントの中で, 最遠心部のインプラントに対しては咬合荷重の約2.7倍の垂直荷重が加わることが明らかとなった. また, カンチレバーを延長するにしたがって, さらに荷重負担率に大きな差が生じた. カンチレバーを延長すると義歯が転覆せずに負担しうる咬合荷重は増加し, 特に10 mm以上の延長で著しく大きくなった. したがって, バーアタッチメントのカンチレバーを延長することは義歯の支持には有効であるが, 必要以上の延長は一部のインプラントに対して過大な負担を生じる可能性が示唆された.

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© 2011 昭和大学・昭和歯学会
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