昭和歯学会雑誌
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レーザーラマン分光法の歯科材料への応用 (第2報)
成澤 英明
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1990 年 10 巻 2 号 p. 131-136

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抄録
Delhayeらによって報告された顕微ラマン分光法は, 他の分析法と異なり非破壊, 非接触, 常温常圧で水分を多量に含んだ試料に応用可能であり, さらに直径1μmの小範囲の分析も可能であるという際だった長所を持っており, 歯科分野にも極めて有用な分析手段と思われる.しかしながら, 測定に長時間要したり, 分析する物によっては蛍光を発して測定が困難になったりするなど問題点も多い.本研究は, レーザーラマン分光光度計を用い, コンポジットレジン充填歯の象牙質とレジンとの界面における接着機序を化学的に解明するために行ったものである.その結果, 界面部のスペクトルは測定点によりすべて異なったパターンを示したが, このスペクトルを解析したところ, 接着界面における石英フィラーの存在比が脱灰程度に比例する一方で, レジンの局所存在濃度が脱灰程度に比例しないことが示唆された.
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