昭和歯学会雑誌
Online ISSN : 2186-5396
Print ISSN : 0285-922X
ISSN-L : 0285-922X
前腕部皮静脈の静脈弁に関する臨床解剖学的研究
島 晴信大野 康亮清水 敏之道 健一江川 薫滝口 励司
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 10 巻 2 号 p. 177-184

詳細
抄録

遊離前腕皮弁は, 頭頸部再建外科において有用な再建材であるが, 本法の基礎となる前腕部の臨床解剖学的研究はほとんど見られない.そこでわれわれは25歳から95歳までの9体を用いて左側前腕部皮静脈のうち, 特に椀側前腕皮弁の臨床解剖として重要な橈側皮静脈, 尺側皮静脈, 肘正中皮静脈について静脈弁の観察を行った.静脈の内径の計測には, ニコン実体顕微鏡SMZ-10と尾崎社製デジタル計測システム, リニアゲージD-10S, カウンターC-5Sを用いた.その結果, 静脈弁は肘正中皮静脈分岐直前の橈側皮静脈の部位, 合流直前の肘正中皮静脈の部位などで高頻度で見られ, また前腕部皮静脈の本幹で合流, 分岐, 側枝のある部分の方が, それらのない部分 (直線部) よりも多く見られた.静脈弁の形態は5型に分類することとし, そのうちII型の二葉性弁が82.3%と最多であった.観察区間内の本幹の内径の平均値の最小は遠位端の1.424mm, 最大は近位端の3.678mmであった.本幹の内径と静脈弁の数との間には一定の関係は認められなかった.本幹の直線部では合流, 分岐, 側枝部よりも, 一葉性弁がやや多い傾向が認められた

著者関連情報
© 昭和歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top