昭和歯学会雑誌
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実験的糖尿病モデルにおける骨芽細胞の機能抑制に関する定量的電顕オートラジオグラフィー
佐々木 崇寿岩崎 進
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1991 年 11 巻 4 号 p. 449-458

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抄録

インスリン欠乏型糖尿病における骨量減少症osteopeniaの発症機序を解明するために, ラットにストレプトゾトシン (STZ) を静注して糖尿病を誘導した. STZ投与3週後に, 3H-プロリンを静脈内に投与し, 20分あるいは4時間後にラットをホルムアルデヒド混合液で灌流固定した・固定後, 頭頂骨を切り出し, EDTA脱灰後に超薄切片の電顕オートラジオグラムを作製した・さらに実験データを定量化するために, 3H-プロリン投与後20分ならびに4時間で各々骨芽細胞の細胞質100μm2あるいは類骨100μm2あたりの銀粒子数を計測した. STZの投与によって骨芽細胞は細胞体が極度に扁平化し, タンパク合成系の細胞内小器官に乏しい休止期のbone-lining cellの像を呈した.3H-プロリン投与後20分におけるbone-lining cellによる3H-プロリンの取り込み量は, 対照群の骨芽細胞の約14.7%にすぎず, 同様に投与後4時間における類骨への.3H-プロリンの分泌量は対照群の約3.4%にすぎなかった.また骨芽細胞の類骨側細胞表面10μmあたりの類骨面積は, STZ投与群では対照群の約9.2%に減少していた・以上の実験結果から, インスリン欠乏型糖尿病における骨量減少症は骨芽細胞の形態変化とこれに伴うプロコラーゲン合成能の低下に起因することが明らかにされた.

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