昭和歯学会雑誌
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チタン歯科鋳造用鋳型材およびルツボ材へのカルシアの適用に関する研究
田中 久雄玉置 幸道
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1994 年 14 巻 4 号 p. 351-358

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抄録

3種類のカルシア粉末の特性を調べ, チタン鋳造用鋳型材およびルツボ材としての可能性を検討した.各カルシアは製法, 純度が異なるため, 粉末の粒度分布や活性度に差があることが認められた.特に, 焼成カルシア (CFQ-S, CSQ-S) は電融カルシア (CFQ-E) に比べて活性度が高いので硬化時間を大幅に短縮できることが判明した.焼成カルシアの生型強さは環境温度, 保存時間に影響を受け, 本実験では約10℃の環境下に24時間保存した場合に最も大きな値を示した.-方, 電融カルシアは低温の環境下では硬化が遅延され, 強さも小さかった.いずれのカルシアもチタン粉末を添加して鋳型を作製すれば, 加熱時にチタンの鋳造収縮を補償しうる膨張を有することが認められた.また, 高周波誘導融解鋳造機を用いて, 各カルシアで作製したルツボおよび鋳型より得られたチタン鋳造体の硬さは, カルシアの純度に影響され, 純度99・9%のCFQ-Sで鋳造したものが最も硬さが小さかった.本実験の結果から, 高純度焼成カルシアが操作性, 物性に優れ, しかもチタンとの反応性も低いので, チタン鋳造用鋳型材およびルツボ材として最も有望であると考えられた

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