昭和歯学会雑誌
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口腔トリコモナス (Trichomonas tenax) によるヒト免疫グロブリンの分解
山本 綾子永尾 悦子浅賀 恵美子五十嵐 武佐々 龍二後藤 延一
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2001 年 21 巻 4 号 p. 413-420

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抄録
口腔トリコモナス (Trichomonas tenax : T. tenax) は, 歯周疾患患者から非常に高率に分離されることから歯周疾患との関連性が疑われている.また, 口腔領域以外の種々の病巣から分離されそれぞれの疾患との関連性が推定されているが, 従来は純培養が困難であったことから, 研究が進まずT. tenaxが保有する病原因子は解明されていない.我々は, 病原性に関連する種々の生化学的性状を明らかにしてきている.今回は, 病原体に対する重要な防御因子である免疫グロブリン, すなわちIgG, IgM, IgAおよびSIgAの分解能について検討した.T. tenax細胞の滲出液は, IgGを著明に分解し, IgMは僅かに分解した.その両者の分解活性はDTTによって促進され, E-64によって著しく阻害されたが, EDTA, pepstatin AおよびAEBSFによっては影響を受けなかった.血清型IgAは, 完全に分解されためにDTTによる活性化は不明であるが, E-64によって活性が明らかに阻害された.以上の阻害剤および活性化剤の影響から判断して, IgG, IgMおよび血清型IgA分解は, T. tenaxが保有するシステインプロテアーゼによるものと考えられた.SIgAのSC成分は著しく分解され, その活性はEDTAおよびAEBSFによって阻害されたが, DTTおよびE-64によっては影響を受けなかった.このことから, SlgAのSC分解に関与する酵素は, IgG, IgMおよび血清型IgA分解に関与するものとは異なるプロテアーゼであることが推定できる.以上の結果から, T. tenaxは, 歯周ポケットや唾液中に存在する各クラスの免疫グロブリンを分解できることがわかった.
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