2012 年 68 巻 2 号 p. I_1121-I_1126
2010年10月20日の奄美大島豪雨による大量の水と土砂の流出は奄美大島の重要な観光資源でもあるマングローブ・サンゴ生態系にも大きなダメージを与えたと考えられる.
そこで,本研究ではサンゴ礁域への土砂堆積状況とサンゴの死滅状況の調査を行うとともに,河口域のマングローブ林の倒壊状況やマングローブ林内への土砂堆積状況の調査を行った.その結果,沿岸域に流出した土砂は湾内に分布していたサンゴ群集の被度を大幅に減少させたことが明らかとなった.しかし,台風の接近や季節風による高波によって,内湾以外の地点では大部分の堆積泥土が洗い流されたため,サンゴへの影響は軽減されたと考えられる.また,マングローブ林の流出は川沿いのごく一部に限られており,林内での急激な土砂堆積は確認されなかった.