昭和歯学会雑誌
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歯冠色の視感比色におけるエンクロージングの効果
福島 厚
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1987 年 7 巻 1 号 p. 67-86

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抄録

歯冠色のシェードマッチングを想定し, 歯冠の小範囲の視感比色による測色をより正確にする方法を検討した.そのため, 1.検者23名に対する3点識別テスト法により実用最小識別色差 (ALPCD) を求め, 本実験条件下で等色とみなせる許容色差を定めた.その結果, ALPCDの平均は1.9±0.5L*a*b*であった.これを, 歯の微小面積についての視感比色法によるシェードマッチングの適否を判定する基準とした.すなわち, 色差1.9 L*a*b*未満を「slight : 色差を認めない」, 1.9以上3.4L*a*b*未満を「noticeable : 小色差」, 3.4 L*a*b*以上を「apPreciable : 大色差」と色差域を分類した.2.試料として抜去天然歯5歯, 比色対象としてシェードガイド20種を定め, それらの唇面中央部の色調を色彩輝度計によって測定し, 1で定めた色差域を基準として各試料に対応するシェードガイドを分類した.3.試料を1) そのままの状態 (通法と呼ぶ), および2) 透明ナイロソ線, 3) 黒色鉄線でエンクロージングを施した状態のそれぞれで, 検者が視感比色法によりシェードマッチソグを行った.その結果, 通法では, slightのものが平均42.8%, appreciableが平均21.0%であった.また透明線エンクロージングでは, slightが平均57.6%, apPreciableが平均11.4%, 黒色線エンクロージング法では, slightが43.4%, apPreciableが18.8%であり, とくに透明線で成績の向上が認められた.

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