昭和歯学会雑誌
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塩化ベリリウムのラット培養骨細胞のアルカリ性フォスファターゼ活性に及ぼす影響について
小野寺 篤
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1987 年 7 巻 1 号 p. 54-66

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抄録

塩化ベリリウム (BeCl2) のラットのカルパリアの培養骨細胞内のおもにアルカリ性フォスファターゼ活性に対する影響について調べた.生後1日齢の両性ウィスター系ラットのカルバリアから酵素消化法により骨細胞を採取し培養した.骨細胞の増殖に対する10,100μM BeCl2の影響は, 細胞数では10μM BeCl2群では培養7日目から, 100μM BeCl2群では培養3日目から対照群とくらべ有意に減少した (p<0.01).ALPase活性は, 10μM BeCl2群では培養5, 7, 9, 11日目で, 100μM BeCl2群では培養5, 7, 9日目で, それぞれ対照群とくらべ有意に上昇した (ρ<0.01).Connuenceに達した培養骨細胞に12.5, 25, 50,100,200μM BeCl2を添加した場合の細胞数は培養7日目では100,200μM BeCl2群で対照群とくらべ有意に減少し (ρ<0.01), 培養9日目では25, 50,100,200μM BeCl2で対照群とくらべ有意に減少したくρ<0.01). ALPase活性は培養17日目では50,100,200μM BeCl2群で, 培養9日目では25, 50,100μM BeCl2群で対照群とくらべ有意に上昇した (ρ<0.01).Confluenceに達した培養骨細胞に100μM BeCL2と0.75 mMチミジンまたは1μg/mlシクロヘキシミドを添加した場合のALPase活性は, チミジン単独で添加するとALPase活性の上昇はみられないが, これにBeCl2を加えると有意に上昇した (ρ<0.01).またシクロヘキシミドを添加すると, BeCl2によるALPase活性の上昇は阻止された.Connuenceに達した培養骨細胞に12.5, 25, 50,100,200μM BeCl2を添加し, L-4, 5 [3H] Lysine (1μCi/シャーレ) を用いてタンパク合成を調べてみると, 培養7日目では50,100μM添加群で, 培養9日目では12.5, 25μM添加群で対照群とくらべ有意に促進した (ρ<0.01).以上のことから培養骨細胞にBeCl2を添加すると細胞増殖が抑制されるにもかかわらず, ALPase活性は増加し, この増加にはタンパク合成が関与していることが示唆された。

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