日本皮膚科学会雑誌
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アトピー性皮膚炎患者における末梢血Leu7陽性細胞およびnatural kikker活性の検討
松村 剛一
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1990 年 100 巻 1 号 p. 57-

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抄録

アトピー性皮膚炎患者(以下AD患者)におけるnatural killer細胞(以下NK細胞)の機能的,量的異常およびそれらとアトピー性皮膚炎の重症度,血清IgE値などとの相関を検討した.平均年齢20.8歳のAD患者25例について検索し,以下の結果を得た.①AD患者群の末梢血リンパ球中のLeu7陽性細胞の割合は,対照群のそれより有意な低値を示した.②末梢血Leu7陽性細胞の割合の低下の程度は,軽症群は中等症群,重症群に比して軽い傾向が認められたが有意差はなかった.③AD患者群では,Leu7陽性細胞の割合と血清Iog IgE値との間に有意な負の相関を認めた.④AD患者群のNK活性と対照群のそれとの間に有意差はなく,またIFN-βおよびIL-2によるNK活性の増強も,対照群と有意差はなかった.以上よりAD患者において末梢血Leu7陽性細胞の割合の減少が認められ,またこの細胞がIgE産生異常に深く関与している可能性が推測された.

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© 1990 日本皮膚科学会
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