日本皮膚科学会雑誌
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モルモット皮膚神経線維の免疫組織化学的研究―特に損傷治癒過程における所見―
磯松 瑞穂青山 裕彦野条 良彰上田 恵一
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1991 年 101 巻 12 号 p. 1389-

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抄録

皮膚損傷治癒過程における神経の再生を知る目的のため,モルモットの皮膚について抗ニューロフィラメント(NF)抗体を用いて,正常皮膚および損傷治癒過程の皮膚組織に分布する神経線維のほぼ全体像と皮膚神経の経時的再生を観察した.さらにカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP),サブスタンスP(SP),チロシンヒドロキシラーゼ(TH)の抗体により,機能の異なる神経線維を染色,識別し,これら陽性線維の再生過程を比較検討した.抗NF陽性線維と抗CGRP陽性線維は,正常皮膚とともに損傷皮膚においても,類似の再生・分布像を示し,増生は損傷後2~4週が最も著明であった.さらに抗SP陽性線維と抗TH陽性線維は,損傷後2週でほぼ増生のピークに達し,その後次第に減少した.また神経線維の再生は,境界部では周囲正常皮膚の神経束からであり,損傷部中心では残存した神経束からも再生していることが認められた.

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© 1991 日本皮膚科学会
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