日本皮膚科学会雑誌
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101 巻 , 12 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 籏持 淳, 荒川 雅美, 植木 宏明
    1991 年 101 巻 12 号 p. 1369-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    全身性強皮症(PSS)は皮膚やその他多臓器へのコラーゲン等の結合組織成分の沈着を主病変とする疾患である.B. Bermanらは脳微小循環改善剤であるpentoxifyllineが培養ヒト真皮由来線維芽細胞の増殖,コラーゲン,フィブロネクチン,グリコスアミノグリカン合成を抑制し,コラゲナーゼ活性を亢進させることを報告した.本研究において,我々は,まず培養ヒト真皮由来線維芽細胞におけるpentoxifyllineのα1(Ⅰ)コラーゲン,フィブロネクチン,コラゲナーゼのmRNAレベルに及ぼす影響を検討した.α1(Ⅰ)コラーゲン及びフィブロネクチンのmRNAレベルはpentoxifylline 101~102μg/mlで濃度依存性に減少し,逆にコラゲナーゼmRNAは軽度の増加を示した.さらに11例のPSS患者にpentoxifyllineを連日投与(pentoxifylline 300mg/日)し,皮膚硬化,最大努力開口時開口幅,最大努力伸展時手指関節角度,最大努力躯手指外転時角度,最大努力外転時指間距離について治療前後で測定し検討した.最大努力開口時開口幅,最大努力手指外転時角度,最大努力外転時指間距離は投与開始4ヵ月後,有意に改善が認められた.
  • 長江 浩朗, 荒瀬 誠治, 中西 秀樹, 武田 克之
    1991 年 101 巻 12 号 p. 1377-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    手術により得た爪母より,explant culture,dispersed cell culture,およびゲル内での三次元的なexplant cultureの3方法でヒト爪母細胞を培養した.Explant cultureではⅣ型コラーゲンをコートしたシャーレ上でも無処理シャレー上でも初期には細胞は同様に増殖したが,無処理シャーレでは細胞が早期より角化(細胞の大型化と脱核)した.Dispersed cell cultureではⅣ型コラーゲンをコートしたシャーレとⅣ型コラーゲンをコートしたⅠ型コラーゲン膜上でともに細胞は増殖したが,plating efficiencyは前者では約0.2%,後者では約0.5%であった.また前者では角化が早く始った.無処理シャーレ上でも細胞は接着したが増殖しなかった.培養経過中にコロニー内で細胞が積み重なり,程度の差はあれ,ドーム状に盛り上る現象が,explant culture,dispersed cell cultureでみられた.コラーゲンゲル内での三次元的なexplant cultureでは全方向に向かって細胞が出現し,樹枝状に増殖した.電顕所見ではケラトヒアリン顆粒はみられず,コラーゲン膜と細胞間に基底模様構造もみられなかった.培養細胞の抗毛ケラチンモノクローナル抗体を含む各種抗ケラチン抗体に対する反応は,組織爪母細胞と同様で,表皮基底細胞,表皮有棘細胞,培養表皮細胞のいずれとも異っていた.爪母細胞は表皮細胞や外毛根鞘細胞とほぼ同じ条件でよく増殖し,表皮細胞とは異った性質を有することがわかった.
  • 磯松 瑞穂, 青山 裕彦, 野条 良彰, 上田 恵一
    1991 年 101 巻 12 号 p. 1389-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    皮膚損傷治癒過程における神経の再生を知る目的のため,モルモットの皮膚について抗ニューロフィラメント(NF)抗体を用いて,正常皮膚および損傷治癒過程の皮膚組織に分布する神経線維のほぼ全体像と皮膚神経の経時的再生を観察した.さらにカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP),サブスタンスP(SP),チロシンヒドロキシラーゼ(TH)の抗体により,機能の異なる神経線維を染色,識別し,これら陽性線維の再生過程を比較検討した.抗NF陽性線維と抗CGRP陽性線維は,正常皮膚とともに損傷皮膚においても,類似の再生・分布像を示し,増生は損傷後2~4週が最も著明であった.さらに抗SP陽性線維と抗TH陽性線維は,損傷後2週でほぼ増生のピークに達し,その後次第に減少した.また神経線維の再生は,境界部では周囲正常皮膚の神経束からであり,損傷部中心では残存した神経束からも再生していることが認められた.
  • 相澤 浩
    1991 年 101 巻 12 号 p. 1407-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    17歳から34歳までの女性痤瘡患者60例と同年齢分布の対照健常女性11例について,同一周期内の卵胞期,黄体期の2回採血により,月経周期別に血中luteinizing hormone(LH),follicule stimulating hormone(FSH),estradiol(E2),progesterone(P4),prolactin(PRL),testosterone(T),androstenedione(■4A),dihydrotestosterone(DHT),dehydoepiandrosterone sulfate(DHEA-S)を測定し,本症と血中ホルモンとの関係について検討した.健常群との比較において痤瘡群の血中LH,FSH,E2,P4,PRL,T,■4A値は有意差を認めなかったが,血中DHT,DHEA-S値は卵胞期,黄体期ともに有意の高値(p<0.001)を示した.また痤瘡群における卵胞期と黄体期の血中アンドロゲン値の比較においては,血中T,■4A,DHEA-S値は有意差を認めなかったが,卵胞期DHTは黄体期に比し有意ある高値(p<0.02)を認めた.以上より痤瘡と血中アンドロゲン値の密接な関係が示唆されるとともに,女性痤瘡患者において毛包脂腺系での5α-reductionの亢進の可能性と痤瘡病態における副腎性アンドロゲンの重要性が示唆された.また月経前増悪発症機序を血中アンドロゲンレベルのみより説明することは困難であると推測された.
  • 竹原 和彦, 相馬 良直, 佐藤 伸一, 石橋 康正
    1991 年 101 巻 12 号 p. 1417-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    抗セントロメア抗体陽性の汎発性強皮症患者のnatural courseを明らかにする目的で同抗体陽性例でレイノー現象のみを有する群と皮膚硬化を伴う強皮症群とで,その臨床症状の比較検討を行った.その結果,爪郭部出血はレイノー現象出現後早期に,血管拡張は皮膚硬化出現以前又は以降に,手指先端の虫喰い状瘢痕,舌小帯短縮,全身びまん性色素沈着,皮下石灰沈着などの症状は皮膚硬化出現後に認められることが想定された.
  • 池谷 敏彦, 新田 悠紀子, 鈴木 敏子, 鬼頭 美砂紀, 佐々田 健四郎, 清水 宏之, 堀口 久美子, 藤本 孟雄, 原 一夫
    1991 年 101 巻 12 号 p. 1423-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    特異な臨床経過をとった小児のT細胞性悪性リンパ腫の1例を報告した.症例は14歳の男児で体格,発育はやや不良.8歳夏から両0・狽ィよび耳介に自覚症状の無い丘疹が出現し,中心臍窩を持つ小水疱から糜爛,結痂し,瘢痕を残して治癒することを繰り返すようになった.同じ頃から2~3週間ごとに2~3日間続く不明熱,関節痛が出現,また肝機能障害も出没するようになった.皮疹は加齢と共に増悪する傾向を示し,冬季も軽快しなかった.発熱,関節痛には抗生物質は無効で,ステロイドが有効であったが,皮疹には効果を示さなかった.異型の種痘様水疱症として経過を観察していたところ,13歳12月頃より皮下硬結が出没するようになり,そのころから顔面の皮疹の出現は減少する傾向を示し始めた.9月初旬から39℃台の発熱,中旬から加えて下痢,嘔吐が著明となった.入院加療にても軽快せず,タ至イ,四肢に皮下硬結が汎発し,悪性リンパ腫と診断されたが,11月16日永眠した.剖検を行ったが,悪性リンパ腫の原発巣は確定できなかった.モノクロナール抗体を用いた腫瘍細胞の膜表面形質の検索により,T細胞性悪性リンパ腫と確認した.種痘様水疱症様の皮疹が先行発症した悪性リンパ腫および類症を文献的に検索し,自験例の発症の機序を推測した.
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