抄録
通常の蕁麻疹より個疹の持続時間の長い非定型的蕁麻疹を生じた50例の臨床,検査所見及び病理組織学的所見を比較検討した.病変部皮膚に好中球優位の細胞浸潤を認める27例は,その多くが発熱,関節痛,CRP陽性,血沈亢進を伴っていた.このうち10例はleukocytoclastic vasculitisを呈し,SLE(4例),SLE+Sjogren症候群(2例),B型ウイルス肝炎(1例)等の基礎疾患を有し,いわゆる症候性のurticarial vasculitisに相当した.検査上,低補体血症,免疫グロブリン,補体の病変皮膚血管壁への沈着が高率に証明された点から,その多くは病態にⅢ型アレルギーに基づく血管炎が関与すると考えられた.この群はしばしば肝,腎を初めとする多臓器障害を併発していた.他の8例は血管壁に好中球浸潤を認めるも,leukocytoclastic vasculitisとしての所見に乏しいものであるが,同様の基礎疾患,検査成績,多臓器障害を認める点で,一部はurticarial vasculitisに準じた病因及び病態によるものと考えられた.残りの9例は血管壁への好中球の直接浸潤を認めないものであり,多くは上気道感染などに伴い,前2者とは基礎疾患,検査所見,多臓器障害の有無の点で異質のものであると考えられた.以上のように好中球優位の細胞浸潤を呈する蕁麻疹様発疹の病態は単一のものでないが,病理組織学的な血管傷害が強いほど,SLEなどの基礎疾患がみいだされる場合が多く,全身的な炎症症状が強く,多臓器障害をきたす率が高かった.したがって血管傷害の有無が治療方針や予後に影響すると思われた.