日本皮膚科学会雑誌
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Sulfite(亜硫酸塩)過敏症:悪性リンパ腫に合併した1例
松田 三千雄昆 みゆき森元 洋介飯田 憲治江口 弘晃三浦 貴子嵯峨 賢次高橋 誠
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1992 年 102 巻 4 号 p. 497-

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抄録

Sulfite(亜硫酸塩)は優れた酸化防止剤として,薬物,飲料,食物などに広く用いられているが,近年,本剤の過敏症が報告されている.Sulfiteは二酸化硫黄(SO2),亜硫酸水素カリウム(KHSO3),ピロ亜硫酸カリウム(K2S2O5),亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3),ピロ亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5),亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)などを含む化学物質の総称である.我々は悪性リンパ腫患者の治療過程で,sulfite含有薬剤を用いたところ,ショック様症状を呈した患者を経験した.ピロ亜硫酸ナトリウム皮内テストが陽性であり,sulfiteを含む他の薬剤でも類似の症状が出現していたので,本症例をsulfite過敏症と診断した.また薬剤過敏症の検査法として開発された間接好塩基球脱顆粒試験を行い,対照に比し有意な差を認めた.間接好塩基球脱顆粒試験はsulfite過敏症の診断におけるin vitro検査として有用である可能性が示唆された.Sulfiteは種々の薬剤に含まれているため,sulfite過敏症患者では,慎重な薬剤の選択が必要であると思われる.

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© 1992 日本皮膚科学会
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