日本皮膚科学会雑誌
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PTCA後に原因不明の腎不全を発症し,皮膚生検で確定診断し得たコレステロール結晶塞栓症の1例
大西 泰彦大原 國章安斉 均関 顕
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1993 年 103 巻 10 号 p. 1333-

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抄録

コレステロール結晶塞栓症(Cholesterol Crystal Embolization:CCE)はコレステロール結晶の全身的な塞栓症で,大血管壁に存在する粥状硬化巣の断続的な崩壊によって引き起こされる.本疾患は心臓カテーテル操作後などに腎臓を中心とした多臓器不全を引き起こす重要な疾患として,近年欧米では数多く報告されている.しかし,本邦での報告はまだ少ない.またその診断には皮膚生検が重要な位置を占めるが皮膚科領域での報告は現在まで見当たらない.今回我々は,経皮的冠動脈拡張術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:PTCA)を施行後に原因不明の腎不全に陥った72歳,男性について,下腿からの皮膚生検でCCEと診断し得た.疾患概念の紹介を含めて,過去の文献をもとに皮膚科的な側面から考察を加えた.

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© 1993 日本皮膚科学会
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