日本皮膚科学会雑誌
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103 巻 , 10 号
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  • 小野寺 有子
    1993 年 103 巻 10 号 p. 1263-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
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    皮膚癌において表皮基底膜に生じる変化と,腫瘍の浸潤,転移,予後との関連性を正確に判定することは重要である.これまで免疫組織化学的に,種々の基底膜蛋白と基底膜微細構造との相関関係が研究されてきたが,通常のホルマリン固定・パラフィン包埋切片を用いると基底膜蛋白の抗原性は失活しやすく,一方無固定・凍結切片では腫瘍の形態が十分に保持できないという欠点があった.皮膚の組織形態と基底膜蛋白の抗原性との両者を保持し得る方法を見出す目的で,新鮮皮膚を化学固定を用いずにイソペンタン(-160℃)にて急速凍結固定を行い,-40℃,10-2気圧下にて凍結乾燥させパラフィンに包埋した.同ブロックより作製した切片は,ヘマトキシリン・エオジン染色でホルマリン固定・パラフィン包埋切片と同程度の良好な形態が得られた.またVII型コラーゲン,IV型コラーゲン,ラミニン,GB3抗原,類天疱瘡(BP)抗原などの基底膜蛋白の抗原性はいずれも保持されていた.本手法をボーエン病,ボーエン癌,扁平上皮癌における基底膜の免疫染色に応用したところ,腫瘍細胞の異型性が軽度で基底細胞層の変化を伴わない部では,すべての抗原が連続性に保持されていた.腫瘍細胞が増殖し表皮肥厚と基底細胞の配列の乱れを伴うと,IV型コラーゲンとラミニンが陰性化し,更に表皮肥厚が著明となるとBP抗原か陰性化,基底膜に断裂が生じるとⅦ型コラーゲン,GB3抗原も陰性化した.以上より,凍結固定・凍結乾燥・パラフィン包埋切片は形態,抗原性とも保持されており,皮膚癌における基底膜蛋白の変化を,癌の浸潤度と対比させながら正確に判定するために有用な免疫組織学的手法と思われた.
  • 金森 幸男, 立原利 江子, 今井 俊哉, 青木 雅子, 相良 宗徳, 中山 恵二, 中村 進一
    1993 年 103 巻 10 号 p. 1273-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    In vitro でのisotope uptake を指標とした制癌剤感受性試験を皮膚科領域の悪性腫瘍,特に悪性黒色腫への臨床応用を目的として,実施するための示適条件の決定を試みた.ヒトメラノーマ細胞樹立株としてG361,HMV-1およびMewoの3種類を使用した,DNA合成を測定する場合には,3H-Thymidineで,またRNAおよび蛋白合成を調べる場合には,それぞれ3H-Uridineまたは3H-Leucineでpulseし,24時間培養後にharvestした.取り込まれたisotope値を計測することにより,各々の合成を測定した.3つのcell linesはすべて96well平底microculture plateを使用し,1×104/wellの細胞数で,4日目にDNA合成,RNA合成および蛋白合成のすべてが最大となった.1×105/wellでは,DNA,RNAおよび蛋白合成のいずれの増大も認められなかった.1×104/wellの細胞数で,4日目に判定することが,DNA,RNAおよび蛋白合成のいずれを指標とする場合でも最適であることが明らかとなった.
  • 金森 幸男, 立原利 江子, 今井 俊哉, 青木 雅子, 相良 宗徳, 中山 恵二, 中村 進一
    1993 年 103 巻 10 号 p. 1279-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    in vitro でのisotope uptake を指標とした制癌剤感受性試験を,G361,HMV・1およびMewoの3種類のヒトメラノ-マ細胞樹立株と制癌剤としてDTIC,VCR,ACNU,BLM,PEP およびCDDPの6種類を使用して,基礎的検討を試みた.96well平底microculture plateを使用し,1×104/wellとなるように細胞数を調整して,4日目にDNA,RNAおよび蛋白合成を測定した.各々制癌剤の濃度は,peak plasma concentrationおよびその1/10と1/100の濃度を使用した.DTICを使用した場合には,G361のDNA合成とHMV-1の蛋白合成が最も感受性が高く,VCRでは,HMV-1とMewoのRNA合成の感受性が低く,BLMでは,HMV-1とMewoのDNA合成が高い感受性を示し,PEPでは,MewoのDNA合成が最も感受性が高く,CDDPでは,G361とMewoのRNAおよび蛋白合成の感受性が低いことが明らかとなった,各々の制癌剤は,DNA,RNAおよび蛋白等の合成系のうちのどれか一つの合成系に働いて,その抗腫瘍効果を発揮するのではなく,DNA,RNAおよび蛋白合成のいずれを効率よく抑制するかは,targetとして使用されたcell lineによって異なることが証明された.
  • 神川 知之, 大江 麻里子, 川島 真, 肥田野 信, 大原 國章
    1993 年 103 巻 10 号 p. 1287-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
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    Giant cell tumor of tendon sheath の生物学的悪性度を推定する目的で,9例についてパラフィンブロックから作製した試料を用いて,flow cytometry(FCM)により核DNA量の解析を行った.9例中2例にaneuploid patternを認めたが,うち1例は骨にpressure atrophyをきたす程増殖性の高い例であり,もう1例は結合織性被膜を欠くびまん型の組織像を呈していた.他の8例は骨変化を伴わない被膜に包まれた限局型でdiploid patternであった.これらの結果から,本腫瘍のうちより増殖能の高い症例でaneuploid pattern が認められ,HISが高値である傾向がみられ,FCMによる核DNA量の解析は,治療方針を決定する上で補助的手段となりうると考えた.
  • 石川 治, 田村 多絵子, 田村 敦志, 大西 一徳, 山蔭 明生, 宮地 良樹, 石川 英一
    1993 年 103 巻 10 号 p. 1295-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    我々は過去14年間(1978年~1991年)に全身性強皮症死亡36症例を経験し,死因不明の9例と死因が本症と関係が少ないと考えられた7例を除く20例(男2例,女18例)について臨床的に検討した.病型別の死亡例数はタイプ1は0例,タイプ2が8例,タイプ3が9例,generalized morphea(GM)タイプが3例であった.罹病期間はタイプ2が19.5±4.2年あるのに対して,タイプ3は8.1±5.0年(p=0.001),GMタイプは6.3±2.5年(p=0.0008)と有意に短かった.しかし,初発症状出現年齢,死亡年齢,各強皮症特異スコア陽性頻度,強皮症特異スコア数,抗topoisomerase Ⅰ抗体および抗centromere抗体陽性率については病型間の差は認めなかった.死亡原因としては,心肺不全12例,肺癌3例,強皮症腎2例,間質性肺炎,壊死性血管炎,原発性胆汁性肝硬変各1例であった.特に,肺線維症ないし肺高血圧症による心肺不全死亡例では躯幹にも皮膚硬化を認め,発病後10年以内(平均7.3年)に死亡する急性型(タイプ3:7例,GMタイプ:1例)と四肢に硬化が限局し10年以上(平均18年)の経過を持つ慢性型(タイプ3:1例,タイプ2:3例)が見られた.またGMタイプでは3例中2例が強皮症腎(発病後4および6年)で死亡していた.タイプ2では肺癌など心肺不全以外の死亡例の多い点が注目された.今回の検討から,肺・腎病変が急速に進行する症例を予測する因子は見いだし得なかったが,従来から指摘されているように,躯幹に皮膚硬化を認める症例では急性型の存在を念頭におき,注意深い経過観察が必要であろう.
  • 林 伸和, 池 亨仁, 門野 岳史, 中川 秀己, 石橋 康正, 安藤 巌夫
    1993 年 103 巻 10 号 p. 1301-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    尋常性白斑患者231例を汎発型,分節型,局在型の3つに分類し,それぞれの抗甲状腺抗体(抗サイログロブリン抗体,抗マイクロブーム抗体)保有率を調べた.また,そのうち190例については甲状腺機能(TSH,T3,T4)も調べた.抗甲状腺抗体陽性率は,汎発型では173例中26.6%(男性22.5%,女性30.1%),分節型では44例中6.8%(男性0.0%,女性11.1%),局在型では14例中7.1%(男性14.3%,女性0.0%)であった.汎発型では分節型と比べ,有意に抗甲状腺抗体保有率が高かった(p<0.01).甲状腺機能異常を示した患者は33.7%であり,非常に高率であった.病型別にみると,汎発型139例中36.7%,分節型39例中15.4%,局在型12例中58.3%であった.このうち抗甲状腺抗体陽性例は23例で,残りの41例は陰性であった.また,自己免疫とは異なる機序が考えられている分節型では全例で抗甲状腺抗体が陰性であった.これらの結果は尋常性白斑患者診察時に甲状腺機能を調べる必要性を示唆するものと考えた.
  • 大畑 智, 川島 忠興, 吉池 高志, 相川 洋介, 小川 秀興, 山本 一哉
    1993 年 103 巻 10 号 p. 1307-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    成人アトピー性皮膚炎(以下AD)患者の最外層の角層をテープストリッピング法で剥離し,走査型電子顕微鏡を用いて形態学的な観察を行った.これにより成人型AD患者角層の特徴を明らかにすると共に,本法の評価を目的とした.その結果,角層の形態異常の程度は臨床症状の重症度に相関した.特に角質細胞の体表面側でのスポンジ状構造(spongy appearance)と裏面の微細絨毛様突起(villus-like projection)が特徴的指標となった.成人患者と小児患者を比較すると,苔癬化局面を示す皮疹部ではほぼ同様の所見であり,角質細胞の表面形態に基本的な差異は認められなかった.しかし,無疹部における成人患者の形態変化は小児患者より強く,成人型ADの特徴と考えた.本法は非侵襲的で,試料作製法が簡便であり,角質細胞の体表面側と裏面を区別して観察できる利点を有している.従って,ADなどの各種皮膚疾患の臨床症状の経過観察や治療薬剤の有効性評価への応用も期待される.
  • 秋山 尚範, 下江 敬生, 多田 讓治, 荒田 次郎
    1993 年 103 巻 10 号 p. 1315-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎,湿疹・皮膚炎,その他の皮膚疾患よりStaphylococcus aureusの検出を行った.分離S. aureusについてoxacillin(MPIPC)の最小発育阻止濃度(MIC)の測定を行いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出した.1)成人アトピー性皮膚炎の湿潤性病変(湿潤+群)では検討した季節を問わずS. aureusが100%検出された.湿潤性病変を有しない群(湿潤-群)では7月から10月までより11月から1月の間のS. aureusの検出率の低下か見られた.MRSAは抗菌剤の投与を受けていない患者では検出しなかったが,抗菌剤の投与を受けた患者では皮膚表面より容易に検出された.2)湿疹・皮膚炎群(アトピー性皮膚炎は除く),その他の皮膚疾患群(潰瘍は除く)では季節を問わず湿潤+群は50%以上にS. aureusを検出し,湿潤-群では約15%の検出率であった.MRSAは湿疹・皮膚炎群では手湿疹に,その他の皮膚疾患では皮膚カンジダ症で他疾患より多く検出されたが,MRSAの多くは入院患者のコンプロマイズドホスト由来であった.皮膚病変上にメチシリン感性黄色ブドウ球菌(MSSA)が定着している症例に抗菌剤を投与した場合,MRSA に菌交代する症例が見られるため,MSSAが定着した皮膚病変を早期に治癒せしめることおよび皮膚表面にMSSAが定着している症例にむやみに内服,外用抗菌剤を投与しないことがMRSA院内感染防止対策上重要と考えられる.
  • 石原 八州司, 河内 繁雄, 斎田 俊明
    1993 年 103 巻 10 号 p. 1323-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    皮疹をモニター画面上にカラーで拡大して観察できる電子機器であるビデオマクロスコープを用い,手掌と足底の各種の色素性病変を観察し,診断に役立つ特徴的所見の有無について検討した.良性の色素細胞母斑の大多数は比較的規則的な色素パターンを示し,そのパターンは以下の3型に分類できた.1)皮溝に一致する平行線状の色素沈着を示すparallel pattern,2)皮溝に一致する色素沈着とそれに交叉する線状の色素沈着が認められるladder- or lattice-like pattern,3)皮溝を横断する方向に細かな線状色素沈着が密に認められるbrushing pattern.以上の3パターンの何れにも合致しないやや非定型な色素沈着を示す色素細胞母斑も数例見出されたが,これらは何れも病理組織学的に表皮突起のbridgingや大型の表皮内胞巣,表皮下層部でのメラノサイトの個別性増数など,やや非定型な所見を呈する病巣であった,悪性黒色腫病巣内のradial growth phase に相当する部分では,非対称性に配置する多彩なpigment patternが見られ,特に樹枝状ないしサンゴ状を呈する不規則な色素沈着と大小種々の多数のblack dotsがしばしば見出された.これに対し,比較的新鮮な皮内血腫は一様の色調のびまん性の暗紅褐色斑として認められた.いわゆるブラックヒールでは,境界明瞭な滴状または玉石状の濃赤黒色小斑が主として皮丘部に配列,集簇する所見が認められた.以上よりビデオマクロスコープは手掌及び足底の色素性病変の無侵襲な診断法として大いに有用であると考えられる.
  • 大西 泰彦, 大原 國章, 安斉 均, 関 顕
    1993 年 103 巻 10 号 p. 1333-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    コレステロール結晶塞栓症(Cholesterol Crystal Embolization:CCE)はコレステロール結晶の全身的な塞栓症で,大血管壁に存在する粥状硬化巣の断続的な崩壊によって引き起こされる.本疾患は心臓カテーテル操作後などに腎臓を中心とした多臓器不全を引き起こす重要な疾患として,近年欧米では数多く報告されている.しかし,本邦での報告はまだ少ない.またその診断には皮膚生検が重要な位置を占めるが皮膚科領域での報告は現在まで見当たらない.今回我々は,経皮的冠動脈拡張術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:PTCA)を施行後に原因不明の腎不全に陥った72歳,男性について,下腿からの皮膚生検でCCEと診断し得た.疾患概念の紹介を含めて,過去の文献をもとに皮膚科的な側面から考察を加えた.
  • 石地 尚興, 峰咲 幸哲, 本田 まりこ, 新村 眞人
    1993 年 103 巻 10 号 p. 1341-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    子宮頚癌や子宮頚部dysplasiaを含め子宮頚部からは数種のヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus,HPV)が検出されるが,これらのHPVには遺伝子レベルでの相同性があり,粘膜型HPVとしてまとめることができる.これらのHPVはおもに性行為を通じて感染し,外陰部にも病変をつくるものと考えられる.我々は外陰部病変でHPVが関与していることが疑われる137例についてin situ hybridization法を用いてHPV-DNAの検索を行った.HPV-DNAが検出されたのは105例で,そのうち良性型と考えられる6/11型は98例,悪性型と考えられる16/18型は7例であった.31/33/35/51型は検出されなかった.6/11型が検出されたのはすべて尖圭コンジロームであり,HPV16/18型が検出された7例のうち6例はbowenoid papulosis,1例はボーエン病であった.
  • 1993 年 103 巻 10 号 p. 1345-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
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