日本皮膚科学会雑誌
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成人型アトピー性皮膚炎患者の血清interleukin(IL)-6とhouse dust mite抗原刺激による末梢血単核球のIL-6産生について
吉川 康之元木 良和丸山 幸治小嶋 幸夫岩月 啓氏金子 史男
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1994 年 104 巻 11 号 p. 1339-

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抄録

成人型アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis;AD)患者の血清中のinterleukin(IL)-6値と末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cells;PBMC)をhouse dust mite(HDM)抗原で刺激し,IL-6産生量を測定した.AD患者PBMCはHDM抗原刺激により容量・時間依存的にIL-6を産生した.HDM(100ng/ml)刺激24時間後のIL-6産生量は,AD患者では2,634.7±852.3pg/mlであり,健常人(654.0±116.7pg/ml)およびAD以外の皮膚炎(nonAD)患者(853.1±188.2pg/ml)に比して有意に高値であった.一方,無刺激時のPBMC産生のIL-6はAD患者で465.9±83.7pg/ml,nonAD患者で377.2±63.5pg/mlであり,それらはともに健常人(188.7±54.3pg/ml)より高値であった.AD患者PBMCのIL-6産生量は皮疹の重症度と相関して増加した.しかしながら血中総IgE値あるいはHDM特異的IgE値との間に明確な関係は認められなかった.さらに,AD患者血清中のIL-6は通常人よりも高率に検出され,そのレベルも高い傾向が認められた.以上の結果から成人型AD患者の血清中にはIL-6が高く,またPBMCはHDM抗原刺激によりIL-6を過剰産生すると考えられ,このIL-6がADの病態形成に関与することが示唆される.

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© 1994 日本皮膚科学会
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