日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
インターロイキン-2持続動注,放射線療法および温熱療法を併用した悪性血管内皮細胞腫の1例
豊福 一朋中山 樹一郎太田 浩平国場 尚志竹内 実永江 祥之介井上 裕章冨田 吉信河田 賢治小宮山 荘太郎堀 嘉昭
著者情報
ジャーナル 認証あり

1994 年 104 巻 12 号 p. 1441-

詳細
抄録
73歳の女性の頭部に原発した悪性血管内皮細胞腫(結節型)の1例に対し,rIL-2の持続動注と放射線療法の併用療法を施行した.動注経路を上甲状腺動脈より外頚動脈としてカテーテルを挿入し,rIL-2を35~70万JRU/日持続動注した.6週後に自然抜去したので,浅側頭動脈の分枝である頬骨眼窩動脈から逆行性に浅側頭動脈本幹にカテーテルを挿入し動注を施行し,自然閉塞などのトラブル無く左側は13週,右側は19週にわたる長期間の持続動注を可能にした.同時に,放射線照射を併用し一回2Gyを40回合計80Gy照射,治療開始10週後には完全緩解を得た.その後はrIL-2の持続動注とマイクロウェーブによる局所温熱療法を施行していたが,5ヵ月間,局所再発,遠隔転移をみず経過良好である.一般に結節型あるいは潰瘍形成型の悪性血管内皮細胞腫には,rIL-2は必ずしも効果はよくない1)~3).しかし選択的動注と放射線療法の併用はこの様な難治性の症例に対しても有効であると考える.また,緩解後の維持療法として,rIL-2と局所温熱療法の併用療法が有用であると考えられる.
著者関連情報
© 1994 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top