1994 年 104 巻 5 号 p. 651-
抗真菌剤(butenafineクリーム)外用時における手白癬・足白癬患者の鱗屑中の菌要素のviabilityをneutral red染色と培養を用いて経時的に評価した.投与症例32例中4週間経過観察できた10例につき検討した結果,治療前は全例菌要素陽性で,そのneutral red染色と培養も陽性であったが,外用4週後には菌要素陽性率は70%と高値であるのに対し,neutral red染色陽性率は20%,培養陽性率は10%と低下し,菌要素陽性率とneutral red染色陽性率の間に明らかに解離がみられた.このことから,抗真菌剤の効果判定においては,鱗屑中の菌要素の有無だけではなく,neutral red染色などを用いてこの菌要素のviabilityを評価することが重要と思われる.